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最高裁判所第二小法廷 平成4年(行ツ)88号 判決

神奈川県茅ヶ崎市松が丘一丁目一番七四号

上告人

渡辺馨

右訴訟代理人弁護士

島田康男

神奈川県藤沢市朝日町一-一一

被上告人

藤沢税務署長 林武文

右指定代理人

畠山和夫

右当事者間の東京高等裁判所平成三年(行コ)第五〇号所得税更正処分取消等請求事件について、同裁判所が平成四年一月二八日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人島田康男の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、独自の見解に立って原判決を論難するものであり、いずれも採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 木崎良平 裁判官 藤島昭 裁判官 中島敏次郎 裁判官 大西勝也)

(平成四年(行ツ)第八八号 上告人 渡辺馨)

上告代理人島田康男の上告理由

第一 上告理由第一点

控訴裁判所は共同事業者の範囲及びその持分割合等の判断(判決書第四、一)において、剱持の共同事業の対象となる物件の範囲について経験則に反する違法な事実認定をなしており、共同事業の対象となる物件の範囲についての違法な事実認定が本件判決に影響を与えることは明らかである。

第二 上告理由第二点

控訴裁判所は、租税特別措置法(以下、措置法という。)第二八条の四による所得税の算定につき、租税特別措置法関係通達(以下、措置法通達という。)二八の四-三三の適用の条件の解釈を誤り、更に、申告納税制度の趣旨を誤って、所得税の算定において措置法通達の二八の四-三三(1)項を適用したもきであり、この誤りが判決に影響することは明らかである。

第三 上告理由第一点について

一、控訴裁判所は本件共同事業につき、まず、次のとおり判旨する。

「本件の共同事業の対象は、茅ヶ崎市柳島近辺の土地を地主から買い上げて、これを宅地として開発し、更にその土地上に建物を建築して、土地付建物を他へ売却するというものである。

そして、右事業に必要な宅地の開発及び建物の建築は、他の業者に請け負わせ、控訴人らは、主として土地の買上げ及び土地付建物の譲渡に当たっていた。」(判決書三丁裏一行~八行)

「本件において、控訴人は、右事業への参加者及び各自の持分割合は各不動産ごとに定められていたとして、右事業に係る総収入と総原価に事故の持分割合を乗じて所得を算出しており、被控訴人も具体的な共同事業者の範囲及びその持分割合を一部分争いつつ、基本的にはこの算出方法によって所得を算出している。」(判決書三丁裏九行~四丁表二行)

剱持が共同事業者であるか否かについて争いのある物件は、別表2の番号4、5、同3の番号7、9、10、同4の番号1、4ないし6の各物件であり、」と判旨する(判決書九丁裏一〇行~一〇丁表二行)。

二、本件共同事業の対象となった土地は、茅ヶ崎市柳島二丁目二五六近辺、同柳島二丁目九五一近辺及び同柳島海岸近辺の三か所であることについては争いはなく、控訴裁判所もそのように認定している。

更に、山城不動産及び七宝建設とに関しては、上告人、被上告人、第一審、控訴審を通じてまったく争いはなく、一致して、共同事業者であること及びその持分割合が認められている。

ところで、本件共同事業においては、上告人と山城不動産によるものと、上告人と七宝建設とによる共同事業が存するのであって、山城不動産と七宝建設による共同事業、上告人と山城不動産と七宝建設の三者のよる共同事業は存在しない。

本件共同事業の対象となった土地と共同事業者との関係については、柳島二丁目九五一近辺が上告人と山城不動産によるものであり、柳島二丁目二五六近辺及び柳島海岸近辺の二か所が上告人と七宝建設とによる共同事業であることが明らかである。

三、剱持については、控訴審判決において、次の各物件について共同事業者であると認定されている。

別表2(同9)の番号1、3

別表3(同10)の番号2、4、8

別表4(同11)の番号3

右の各物件の内容は次のとおりである。

別表2(同9)の番号1は、柳島二丁目九五一近辺の物件であり、上告人と山城不動産の共同事業の対象となっている開発である。

別表2(同9)の番号3は、香川字中通の物件であり、山城不動産も七宝建設も関係していない。

別表3(同10)の番号2は、柳島二丁目九五一近辺の物件であり、上告人と山城不動産の共同事業の対象となっている開発である。

別表3(同10)の番号4は、香川字間門の物件であり、上告人と山城不動産の共同事業の対象となっている柳島二丁目九五一近辺の開発に関連するものである。

別表3(同10)の番号8は、柳島海岸近辺の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている開発である。

別表4(同11)の番号3は、香川字間門の物件であり、上告人と山城不動産の共同事業の対象となっている柳島二丁目九五一近辺の開発に関連する物件である。

四、一方、次の各物件については共同事業者であることが否定されている。

別表2(同9)の番号4、5

別表3(同10)の番号7、9、10

別表4(同11)の番号1、4、5、6

右の各物件の内容は次のとおりである。

別表2(同9)の番号4は、柳島海岸近辺の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている開発である。

別表2(同9)の番号5は、柳島字下河原の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている柳島海岸近辺の開発に関連する物件である。上告人と七宝建設とによる共同事業と認定されている。

別表3(同10)の番号7は、柳島字向河原の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている柳島海岸近辺の開発に関連する物件である。上告人と七宝建設とによる共同事業と認定されている。

別表3(同10)の番号9は、柳島海岸近辺の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている開発である。

別表3(同10)の番号10は、柳島海岸近辺の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている開発である。

別表4(同11)の番号1は、柳島二丁目二五六近辺の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている開発である。

別表4(同11)の番号4は、柳島海岸近辺の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている開発である。

別表4(同11)の番号5は、柳島海岸近辺の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている開発である。

別表4(同11)の番号6は、柳島海岸近辺の物件であり、上告人と七宝建設とによる共同事業の対象となっている開発である。

五、山城不動産、七宝建設及び剱持について、三か所の開発物件との関係は次の通りとなる。

1 茅ヶ崎市柳島二丁目二五六近辺

(1) 別表4(同11)の番号1 上告人 七宝建設、剱持認めない

2 同柳島二丁目九五一近辺

(1) 別表2(同9)の番号1 上告人 山城不動産、剱持認める

(2) 別表3(同10)の番号2 上告人 山城不動産、剱持認める

(3) 別表3(同10)の番号4(香川字間門の物件) 上告人 山城不動産、剱持認める

(4) 別表4(同11)の番号3(香川字間門の物件) 上告人 山城不動産、剱持認める

3 同柳島海岸近辺

(1) 別表2(同9)の番号4 上告人 七宝建設、剱持認めない

(2) 別表2(同9)の番号5 上告人 七宝建設、剱持認めない

(3) 別表3(同10)の番号8 上告人 七宝建設、剱持認める

(4) 別表3(同10)の番号7(柳島字向河原の物件) 上告人 七宝建設、剱持認めない

(5) 別表3(同10)の番号9 上告人 七宝建設、剱持認めない

(6) 別表3(同10)の番号10 上告人 七宝建設、剱持認めない

(7) 別表4(同11)の番号4 上告人 七宝建設、剱持認めない

(8) 別表4(同11)の番号5 上告人 七宝建設、剱持認めない

(9) 別表4(同11)の番号6 上告人 七宝建設、剱持認めない

六、控訴裁判所は、「本件の共同事業の対象は、茅ヶ崎市柳島近辺の土地を地主から買い上げて、これを宅地として開発し、更にその土地上に建物を建築して、土地付建物を他へ売却するというものである。そして、右事業に必要な宅地の開発及び建物の建築は、他の業者に請け負わせ、控訴人らは、主として土地の買上げ及び土地付建物の譲渡に当たっていた。」(判決書三丁裏一行~八行)と認定しているのであるから、上告人ら共同事業者は、宅地の開発及び建物の建築のような作業を行っている必要はない。

また、共同事業について、第一審判決は次のように判旨する。

「・・・その経済活動による経済力の獲得または増加をこれらの者がそれぞれ支配していることを必要とし、これらの者が自己の計算と危險において主体的に経済活動を行っていることが必要であって、単に右活動に何らかの形で関与すればたりるというものではない。したがって、共同事業であると認められるためには、当該経済活動を行うことについて相互に意思の連絡があり、その意思決定に各人が主体的に関与するとともに、これを各人が主体的に実現するために空ざれの分担または役割を遂行することが不可欠であるうえ、右活動の結果生じた所得に対する各人の持分割合が右の意思決定の中で定められ、これを合理的に算出できる場合でなければならない。」(第一審判決書一七丁裏五行~一八丁表四行)

控訴審判決はこの点について言及しないが、当然これを認容しているものである。

その上で、茅ヶ崎市柳島二丁目二五六近辺、同柳島二丁目九五一近辺、及び、同柳島海岸近辺の三か所の地上げ開発について、右に述べたとおりの共同事業を認定している。

控訴裁判所の認めた共同事業は、共同事業についての右第一審判決の定義及び控訴裁判所の定義を満たしているものであると控訴裁判所が認定したものにほかならない。

七、右控訴裁判所の判断に従えば、それぞれの地上げ開発物件について、共同事業を誰とどのように行うかが決まるのであって、例えば、柳島海岸近辺について、上告人と七宝建設と剱持とが共同して開発するということになればその地区については共同して開発することになるのであり、その一部分について共同事業となったりならなかったりすることはないということになるはずである。

蓋し、控訴裁判所が認定したとおり、本件の共同事業の対象は、茅ヶ崎市柳島近辺の土地を地主から買い上げてこれを宅地として開発し、更にその土地上に建物を建築して土地付建物を他へ売却するというものであるから、個々の買い上げ土地と個々の販売される建物付土地とは同一のものではない。買い上げ土地を整地し、道路をつけ、区画整理して販売するからである。

上告人が、剱持について共同事業者であると認定したりしなかったりするのに一貫性がなく不当であると主張するのは、まさにこの点についてなのである。

同柳島海岸近辺の地上げ開発についてみれば、五項に指摘したとおり、

(1) 別表2(同9)の番号4 上告人 七宝建設、剱持認めない

(2) 別表2(同9)の番号5 上告人 七宝建設、剱持認めない

(3) 別表3(同10)の番号8 上告人 七宝建設、剱持認める

(4) 別表3(同10)の番号7(柳島字向河原の物件) 上告人 七宝建設、剱持認めない

(5) 別表3(同10)の番号9 上告人 七宝建設、剱持認めない

(6) 別表3(同10)の番号10 上告人 七宝建設、剱持認めない

(7) 別表4(同10)の番号4 上告人 七宝建設、剱持認めない

(8) 別表4(同10)の番号5 上告人 七宝建設、剱持認めない

(9) 別表4(同10)の番号6 上告人 七宝建設、剱持認めない

との一貫しない認定がなされている。

柳島海岸近辺の地上げ開発が上告人と七宝建設との共同事業であるか、上告人と七宝建設と剱持との共同事業であるかは、どちらかなのであって、そのどちらでもあるもどということはありえない。

控訴裁判所は、「なお、控訴人は、剱持を共同事業者と認定したものとそうでないものとがあるのは、一貫性がないというが、前記認定判断のとおり客観的証拠によって認められるものを共同事業者と認定したものであって、控訴人の非難は当たらないといわざるをえない。」と判旨する(控訴判決書一三丁表八行~末行)が、上告人(控訴人)の主張を理解していないものと言わざるを得ない。

控訴裁判所は共同事業者の認定について審理を尽くさず、右のごとき、経験則に反する不合理な事実認定を行ったものである。

八、また、控訴裁判所は「客観的証拠によって認められるものを共同事業者と認定した」と述べているが、控訴裁判所は極めて不合理な証拠の評価を行って、経験則に反する不合理な事実認定を招いたものである。

1、控訴裁判所は、本件地上げ開発における共同事業者と各人の持分割合の認定に当たっては、第一審裁判所と同様に、上告人らが土地付建物を八代住販株式会社に売却するに当たって作成された「土地付建物売買契約書」と七宝建設作成の「不動産売買益の内訳明細書」によっている。

因に、乙第六号証から乙第二四号証(乙第一七号証を除く)は右八代住販株式会社との間の「土地付建物売買契約書」であり、乙第三七号証から乙第三九号証は七宝建設作成の「不動産売買益の内訳明細書」である。

(1) 柳島二丁目二五六近辺開発物件(別表4の番号1)については、乙第二〇号証と乙第三八号証の二によっている。

乙第二〇号証は八代住販株式会社に売却するに当たって作成された「土地付建物売買契約書」であり、乙第三八号証の二は七宝建設作成の「不動産売買益の内訳明細書」である。

甲第一三号証、剱持の証言、七宝建設代表者今出川安夫の証言、上告人本人の供述等はいずれも措信できないとして退けられている。

(2) 柳島海岸近辺開発物件(別表2の番号4、別表3の番号9、10、別表4の番号4、5、6)については、乙第九号証、乙第一八号証、乙第一九号証、乙第二四号証、乙第二五号証、乙第三七号証ないし第三九号証の各二によっており、甲第三四号証、剱持の証言、七宝建設代表者今出川の証言、上告人本人の供述等はいずれも措信できないとして退けられている。

(以上、判決書一一丁裏七行~一三丁表七行)

2、共同事業者と各人の持分割合を右「土地付建物売買契約書」と「不動産売買益の内訳明細書」によって合理的に認定することはできない。

例えば、次の三点をみれば明らかである。

(1) 別表3の番号8について

控訴裁判所は、別表3の番号8について、柳島海岸近辺の物件であり、上告人、七宝建設、剱持の共同事業と認定し、七宝建設が1/2、剱持が1/4、上告人が1/4の持分割合であると認定している。

別表3の番号8に該当する「土地付建物売買契約書」は乙第二二号証であるが、乙第二二号証には、売主として、七宝建設、剱持及び渡辺不動産(上告人)の三名が記載されている。

同じく、別表3の番号8に該当する「不動産売買益の内訳明細書」は、乙第三七号証の二であるが、乙第三七号証の二には、「渡辺不動産(上告人)と共同買1/2」と記載されている。

(2) 同じ「土地付建物売買契約書」である乙第六号証の一と乙第二二号証とを比較すると、乙第六号証の一には売主として山城不動産、剱持及び渡辺不動産(上告人)の三名が記載されており、乙第二二号証には売主として七宝建設、剱持及び渡辺不動産(上告人)の三名が記載されている。

(3) 別表4の番号4について

控訴裁判所は、別表4の番号4について、柳島海岸近辺の物件であり、上告人と七宝建設の共同事業と認定し、七宝建設と上告人が各1/2の持分割合を有すると認定している。

別表4の番号4に該当する「土地付建物売買契約書」は乙第二四号証であるが、乙第二四号証には売主として七宝建設が記載されているだけである。

これらについて、控訴裁判所は合理的な説明、判断をなしていない。

右乙号証は控訴裁判所が争いのある点における事実認定における証拠として用いているのであるから、その信用性については合理的な判断がなされてしかるべきである。

3、控訴裁判所は、「また、控訴人は、共同事業者としたものについて、剱持及び控訴人の持分を各三分の一としたり、四分の一としたりするのはおかしいというが、これは、城田及び七宝建設の物件別収支明細書及び不動産売買益の内訳明細書に基づき、控訴人に有利に持分割合を認定したものであってこの点についても控訴人の避難は当たらない。」と判旨する(控訴判決書一三丁裏一行~五行)が、上告人(控訴人)の主張を理解していないものと言わざるを得ない。

山城不動産と剱持及び上告人が共同した場合は各1/3ずつの持分となり七宝建設と剱持及び上告人が共同した場合は七宝建設が1/2で剱持は上告人側となり、各1/4の持分となること、剱持と上告人が対等の持分割合であること等の認定がなされるのは、剱持の証言、七宝建設の今出川安夫の証言、上告人本人の供述が措信しうるものとして採用したからに他ならないというべきである。

4、控訴裁判所は、証拠の採否、信用性について合理的な判断を加えることなく、恣意的な事実認定を行ったものであり、審理を尽くしたものとは言えない。

第四 上告理由第二点について

一、措置法通達二八の四-三三及び同三四は、譲渡による収入金額を土地と建物とに区分するための簡便な金額計算方法であって、継続適用を条件とするものである。

申告納税制度の下にあっては、納税者がこの簡便な方法を継続的に採用する場合に認められることとなるものである。

控訴裁判所は、措置法通達二八の四-三二と同三三(三四についても同様である。)とを混同しており、譲渡による収入金額を土地と建物とに区分するための計算方法は、措置法通達二八の四-三三及び同三四による方法に限られると判断しているようである。

しかしながら、譲渡による収入金額を土地と建物とに区分するための算定方法の原則は、措置法通達二八の四-三二に規定されており、そこでは、譲渡時における建物の価額及び土地等の価額の比により按分して計算するとの原則が規定されると共に、それ以外の方法であっても、当該土地等の譲渡による収入金額に相当する部分を合理的に区分しているときはこれを認めると規定している。

控訴裁判所は右措置法通達二八の四-三二の規定を看過したあるいはその解釈を誤ったものといわざるを得ない。

二、因に、上告人は、本件譲渡が土地を地上げしたのち建物を建築して一括して販売するいわゆる建売住宅であることから、建物の時価の算定も可能であり、措置法通達二八の四-三三の方法によらず、同通達二八の四-三二によることとしたものである。

上告人は建物の建築価額当から建物の取得原価を算定し、土地の取得価額と比較して、按分したものであって、合理的に区分していると認められていかるべきである。

三、申告納税制度の下では、いくつかの方法が選択可能な場合、いかなる方法を採用するかは、第一次的には納税者が決定するのであり、税務当局はその計算が適正になされていない場合やその方法が不合理と認められる場合に、これを否認することになるのである。

本件において、上告人の採用した計算方法の不合理で否認すべきことを論定することなく、「継続適用」の条件を欠くにもかかわらず、措置法通達二八の四-三三(1)項の適用を認めた判断は違法である。

以上

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